研究概要 |
1994年,高電圧測定システム関する国際規約IEC 60060-2が改訂され,各国は国家標準にトレーサブルな高電圧測定システムを所有することが規定された。この国際動向に歩調を合わせるため我が国では国家標準分圧器及び基準分圧器を保有することが責務となった。 言うまでも無く,これらの高電圧分圧器は較正すべき市販の分圧器を格段に上回る,高精度の応答特性を有するものでなくてはならない。これらの高性能分圧器を製作するとなれば,種々のタイプの分圧器がその候補に考えられる。電圧階級,500-700kVの分圧器を考えると,1)油絶縁抵抗分圧器,2)多重シールド型容量補償抵抗分圧器,3)リングリールド型抵抗分圧器,4)制動容量型分圧器,5)電界プローブが可能性を有する分圧器として考慮される。本研究責任者を始めとする研究者により,これらの分圧器の中で他の分圧手段に比べ,直線性,温度特性,長・短時間安定性,極性効果の面で極めて優れた基準測定システムとして使用が期待できる,5)の電界プローブの実用化に向けて研究を進めた。 従来,電界プローブは商用周波数の交流電圧の測定に使用され,雷インパルス電圧のような急峻波を測定するには,ゲインが小さい,インピーダンスの不整合により測定された波形が変歪するなどの致命的な問題があり,実用化は全く行われていなかった。これに対し,本研究者責任者らは,抵抗性ケーブルを導入することにより,従来の問題点を一気に解決する電界プローブの実現を完成した。
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