研究概要 |
1.平成14年度 電圧印加LB膜累積装置の作製 申請者の着想によるL膜分子展開時に電圧を印加しながら分子の配向状態を変化させる累積装置は,電極と水面との距離を1〜5mmとし,電圧を±2500V印加できる必要がある.電極と水面との距離を一定とする技術などによりこの問題を解決した.これにより,L膜分子に作用する力は電界による力が表面張力による力よりも大きくなり,分子配向の制御が可能となった. 2.平成15年度 L膜展開時の印加電圧極性,水相条件に関する研究 L膜展開時およびL膜展開後に水面から離れた電極に電圧を印加しながら累積することによりLB膜面水平方向の構造制御性の向上をめざすことはLB膜の膜面内配向性を制御するために極めて重要な事項であるがこれまで,適切な方法は無かった.本研究では電圧の極性,電圧印加後のL膜放置時間,水相のpHを変化させることによりLB膜の配向性および膜の累積比(基板上にLB膜が累積する割合)がどのように変化するかを調べた.その結果を用いて電圧印加条件によりLB膜の膜面内方向の周期構造が作製できることが確認された. 3.平成16年度L膜,LB膜の分子配向に関する研究 L膜分子を水面上に展開後でも,L膜展開中と同様に水面と離した金属電極板との間に電圧を印加することによりL膜での分子極限占有面積を制御できることを明らかにした.このL膜をガラス基板上に累積したLB膜のX線回折パターンの解析によりLB膜の層間距離が,L膜での電圧印加を行わなかった試料に比べ短くなっていることがわかった.また同じLB膜試料の紫外・可視吸収スペクトルより分子数密度が減少していることがわかった.これらの結果はLB膜の膜面内方向での選択的な分子の累積,配向制御が行える可能性を示すものである.
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