研究課題/領域番号 |
14550303
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
電子・電気材料工学
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研究機関 | 広島市立大学 |
研究代表者 |
田中 公一 広島市立大学, 情報科学部, 助教授 (40236584)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2003年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2002年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
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キーワード | 分子線エピタキシー / 多重量子井戸 / 光電流 / 量子準位 / 許容遷移 / 禁止遷移 / 有効質量 |
研究概要 |
分子線エピタキシー装置(MBE)で作製されたIn_<0.53>Ga_<0.47>As/In_<0.52>Al_<0.48>As多重量子井戸構造の量子閉じ込め状態の研究を光電流分光法および光透過分光法を用いて行った。 井戸幅の異なる3種類のアンドープの多重量子井戸構造(各井戸幅5、9.4、20nm)の光電流スペクトルは階段構造を示し、光学バンド間遷移がはっきりと確認された。バイアス電圧を印加することによって得られた複数の光電流スペクトルとその差分スペクトルを用いた注意深い解析により、伝導帯と価電子帯の量子準位の等しい許容遷移、量子準位の異なる禁止遷移を同定し、そのエネルギーを推定できた。スペクトルから得られた量子準位を包洛線関数モデルにフィッテイングして井戸層に対して垂直の正孔や電子のバンドオフセットや有効質量を決定した。 電子の有効質量はその量子準位のエネルギーに依存した。このとき、電子有効質量は伝導帯量子井戸の底でバルクのバンド端の有効質量と同じ大きさ(0.041m_0)でエネルギーと伴に緩やかに変化すると仮定すると、量子数が小さくて固有エネルギーの低い準位のエネルギー依存性も充分に考慮できて、電子有効質量はエネルギーの2次関数で表せる。電子有効質量は0.041m_0から0.08m_0まで増加した。 井戸幅10nmをもつアンドープと2種類の変調ドープの多重量子井戸構造に対する光透過測定においてもスペクトルは階段状となり、許容遷移が観測された。1.5×10^<12>cm^<-2>と0.5×10^<12>cm^<-2>に変調ドープされている試料では、基底準位がフェルミ準位よりも低いため、ドープにより生じた量子井戸構造内の電荷のバンドフィリング効果によって基底準位間の遷移が観測されなかった。100K〜330Kの温度で測定された各量子井戸構造のスペクトルの形には温度依存性がほとんどなく、その遷移エネルギーは井戸層のバンドギャップエネルギーの温度変化に依存するだけであった。また、波動関数の積分計算により求めた吸収係数のスペクトルは光透過スペクトルをよく再現できた。 電荷分布のポアッソン方程式と包洛線関数近似モデルに、有効質量などの物性パラメータを使って計算した量子準位や遷移エネルギーは、光電流、光透過実験ともによく一致し、半導体In_<0.53>Ga_<0.47>As/In_<0.52>Al_<0.48>As量子井戸における量子閉じ込め状態の波動関数と有効質量の定量化が行えた。
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