研究概要 |
フォトニックネットワーク用一括波長変換デバイス実現のための非線形光学ガラスとして、テルライト系光学ガラスに着目し、TeO_2-X-Y (X=WO_3,MoO_3,CrO_3,Y=La_2O_3,Nb_2O_5,Bi_2O_3,PbO,Ta_2O_5,TiO_2,Y_2O_3,SnO,Sb_2O_3)系のガラス化範囲、紫外可視分光特性、200nm〜250Onmおける屈折率分散特性、三次の非線形光学定数を明らかにした。その結果、(1)より透明感のある系は、TeO_2-WO_3-PbOとTeO_2-WO_3-La_2O_3であること、(2)両系の屈折率分散は0.4μm〜5μmの波長範囲で2.2014〜1.9603および2.1658〜約1.925であること、(3)テルライト系ガラスの三次非線形定数は0.28〜1,6(x10-12esu)であり、ミラーの法則にも良く当てはまること、(4)TeO_2-WO_3-La_2O_3系では、組成に依存したガラスの呈色(淡黄色から茶色)という興味深い現象が生じること、(5)TeO_2-WO_3-La_2O_3系では、組成に依存したガラスの呈色(淡黄色から茶色)という興味深い現象等の新しい知見を得た。 次に、熱ポーリングによる分極形成を行う目的で、示差走査熱量測定(DSC)により、TeO_2-WO_3-La_2O_3、TeO_2-WO_3-PbO、TeO_2-WO_3-Nb_2O_3、TeO_2-WO_3-B_2O_3のガラス転移温度を正確に測定した。これらガラスサンプルの中からT_eO_2 60:WO_3 30:PbO 10(T-W-P-6)を選び、針状電極を用い熱ポーリングを試みた。メーカーフリンジ法でYAGレーザ(1.064μm)を用いSHG測定行った結果、テルライト系ガラス試料に二次非線形性を誘起することに初めて成功した。今回作製したサンプルの二次非線形定数は最も高いポイントで54pm/Vとなった。(但し、屈折率、厚さ等のデータより、ある程度の誤差を含む。)これは、代表的な二次非線形材料であるKDP(0.4pm/V)や、UREA(1.34pm/V)よりも大きく、ガラス材料としてはかなり高い値を達成した。
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