研究概要 |
(1)RM(リード・マラー)符号やBCH符号の最小重み部分符号の再帰的最尤復号において計算量が大きいのは,再帰過程の上位レベルに位置する数セクションである.これらのセクションに関して,上位の尤度だけを効率的に求めるため,トレリス構造について検討した.具体的には,RM符号の部分符号を中心に検討した.その結果,(64,42)RM符号等において,線形符号がもつ規則的な構造に類似した構造をもつことを見出し,計算量を削減することができた.多数決論理復号法で候補復号結果を求め,最小重み部分符号の再帰的最尤復号法を繰り返す復号法に対して,誤り率と計算量の関係について考察した.繰り返し回数と閾値を適切に選ぶと,例えば(64,42)RM符号において,S/N比3dBで最尤復号と同程度の誤り率で復号時間を80%程度に削減できた. (2)符号の性能評価上重要な局所距離分布の計算法について,符号の記号位置置換不変性を利用できる計算法を開発した.符号が閉じている置換で閉じている部分符号を考え,その部分符号でもとの符号をコセット展開し,局所距離分布に関して同じ性質をもつコセットに分類し,代表コセットについて局所距離分布への寄与を計算し,全体の局所距離分布を求める.これまで局所距離分布がわかっていなかったいくつかの符号について分布を求めた. (3)軟値出力復号法として,候補符号語から最小距離にある符号語の探索(最小重み部分符号の復号)を繰り返し利用する復号法について検討した.この探索では特定位置の記号が0あるいは1に固定された符号語をみつける必要があり,これをすべての位置について行う.RM符号の構造を利用して計算量の削減を行った. (4)上述の復号法は,連接符号の内部符号に適用可能と考えられる.内部符号として適当な符号長64,情報記号数40程度の符号として,最大距離分離符号の短縮符号を対象として探索を行い,いくつかのよい符号を見出した.さらに,ビット順序を工夫することにより,符号のトレリス構造が簡単になることを見出した.
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