研究概要 |
本研究では,(1)適応型符号化前後フィルタによる動画像符号化の主観画質改善とそのハードウェア化、(2)高画質化のための撮像時のシャッタースピードと動きジャダーに関する検討、(3)フレーム独立性を有する動画像符号化における符号化雑音の削減手法の検討を行った。 その結果、(1)では、高周波成分を適応的にエンファシスするpre-filterをMPEG4符号化の前処理とし,復号時のpost-filterにおいて画像に応じてエンファシス度合いを適応的に変化させる提案手法により,オーバーレンジの解消と符号化雑音の低減を少ない演算処理で実現した.また,人間の認知するモスキートノイズを検出し,それに応じてエンファシスを強める適応処理も考案し,モスキートノイズの低減も実現した.また、本手法を用いたリアルタイム符号化システムをDSPボードに実装した。 (2)では、シャッタースピード・絞り・オブジェクトの明るさといった撮像パラメータによるジャダー妨害を,主観評価実験により調査した.その結果、画像レートと動き速度が一定の場合,ジャダー妨害はシャッタースピードによる動きぼけが弱いほど大きく,動きオブジェクトの輝度が高いほど大きくなることが判明した。また、画像レートが低いほど強く,動きが速いほど大きくなる特性があった。よって、ジャダーを抑えるには,シャッタースピードを画像レートと同等に設定するのが最適であるという結論を得た. (3)では、フレーム内動画像符号化において、加算する量子化誤差を動きに適応させ,他フレームの局部再生画像の量子化誤差を逆相で加算した画像で符号化を行い,そして復号化の後でフレーム間加算処理を行うことで量子化雑音を低減する手法を提案した.その結果,主観画質の向上と共に、PSNRでは4dBの改善を得た.
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