| 研究概要 |
ミリ波無線LANの高度化に不可欠な技術であるビーム整形技術,マルチビーム化についてホーンアンテナ,リフレクトアレーを取り上げ,基礎的検討を行った.まず,ホーンアンテナについては,テーパ形状として曲線フレア構造を採用し,サービスエリアに応じてビーム整形を行う新しいタイプのホーンを提案している.設計例として,円形,及びだ円形のカバレッジを高い利得で照射する円形ホーン,及び方形ホーンを各々試作し,数値計算および実験により妥当性を確認している.さらに,ホーン開口面における励振モード係数を2次計画法により決定する方法を提案し,従来のペンシルビーム,及び新たに開発した整形ビームいずれの場合でも,低交差偏波特性を保ちつつ,低サイドローブ特性が容易に実現できることを明らかにしている.一方,リクレクトアレーについては,マルチビーム化の基礎的検討として,マイクロストリップ素子の配置と周波数特性について検討を加え,広帯域化のための設計指針を明らかにしている.さらに,リフレクトアレーの設計,試作,実験により,周波数特性,及びマルチビーム特性に関する評価を行い,良好な結果が得られている.このようなアンテナをミリ波帯で簡易に測定評価するため,平面走査近傍界測定法についても検討を加えている.また,ホーンアンテナの給電系として用いる導波管フィルタの新しい構造の提案,リフレクトアレーを多周波数帯で共用化する際に必要となる周波数選択膜の最適化設計法も開発しており,このようなミリ波アンテナ及び周辺技術は今後のミリ波応用分野の発展に大きく寄与するものと期待できる.
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