研究概要 |
(1)誘電体装荷導波管スロットアンテナの放射特性改善に関する実験的検討 本研究では,誘電体を装荷した導波管スロット平面アンテナを試作し,その放射系の整合について実験的に検討した.スロットおよび誘電体球からの反射に起因するアンテナのインピーダンス不整合の問題を解決するため,導波管にM2のビスを装荷した.実験は3段階で行った.第1段階として,スロット,誘電体球1個で構成された導波管スロットを試作し,ビスによって反射を打ち消した.その結果,電圧定在波比を最大1.26から1.02以内とすることが出来た.この実験の結果を受けて第2段階は,導波管スロットアンテナ1本の整合の実験を行った.導波管スロットアンテナ1本はスロット,誘電体球10個で構成されており,第1段階の実験結果を適用して,各々のスロットおよび誘電体球からの反射に対してビスを装荷した.またこの時,残留を打ち消すためのビスをさらに装荷した.結果として、周波数11.8GHz〜12.2GHzの帯域に亘って電圧定在波比を最大3.75から1.1以内とすることができた.最後に第3段階として,残された他の導波管スロットアンテナにに第2段階からの実験結果を適用させて,整合をとった.最終的に,電圧定在波比は最大4から1.2以内の結果が得られた。 (2)小型アンテナの放射特性測定用コンパクトレンジの試作 アンテナの利得、放射パターンなどの特性測定において重要な役割を果たすコンパクトレンジを試作した。対象としている周波数はXバンド帯である。送信用アンテナは、オフセットアンテナであり、垂直偏波及び水平偏波の送信が独立して行える。このため、直線偏波の送信の他に、円偏波の送信も可能である。コンパクトレンジの送信用アンテナの直径は1.8mφである。アンテナ前方約1.8m付近で被測定アンテナ(外形寸法:50cm程度)の遠方界評価が可能となるよう、数値的、実験的に検討中である。現在、外形が30cm程度のアンテナ測定が可能であり、さらに平面波領域を拡大すべく検討中である。
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