研究概要 |
視覚障害者用二次元触覚化画像情報装置のための触子の素材と形状を検討し,試作した.触子は,圧電素子による小型ピンであり,視覚障害者がこれを指で触れて情報を知る.樹脂材に触子マトリクス素子を埋め込み,二次元視覚情報インターフェースを構成,実装する.触子は,小型ピン(断面積1平方mm,突出長0.5mm前後)であり,視覚障害者がこれを指で触れて情報を知る.触子は,平板上にマトリクス状に配する.コンピュータからの制御信号に対応して,おのおのの触子は平板面から突出,引き込み動作をする.触子の素材には,ベロプスカイト型結晶を用いた圧電セラミクス誘電体を用い,この結晶に電界を加え,長さ方向に発生した物理的変位をアクチュエータとして伸縮する性質を利用することを検討した.同圧電セラミクス誘電体には,チタン酸バリウムやチタン酸ジルコン酸鉛等多数ある.これらの素材を用いて触子を実際に試作し,実験的に性能を評価し,最も適切な材質を選択する事を検討した.実際に触子マトリクスを試作して,平板に埋め込んでその変位量,加工容易性,耐久性,安定度,電気的特性などを計測を検討した.その結果,超音波進行波式積層型圧電素子が最も低電圧かつ低電流で制御することが実験的に判明した。実際に,超音波進行波式積層型圧電素子による超小型アクチュエータ(長さ5mm)を製作し,高速駆動電子回路を設計,製作し,組込型マイクロコンピュータに接続して,特性を計測した.その結果,動作速度1〜5mm/sであり,動作特性としては十分な特性を有しているものの,個々の素子にばらつきが存在し,周囲温度,湿度などにより,固着現象が発生することが判明したが,動作特性としては十分な特性を有している事が明らかになり,上記制約を解決できる可能性に関して重要な知見が得られた.
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