研究概要 |
最近の電気・電子機器のディジタル化と高速化に伴って,機器からの不要放射波の高周波化が進んでいる.一方,機器の省電力化に伴って,他の機器から放射された電磁波による誤動作が益々深刻になっている.これらの問題を解決するためには,不要放射の発生源を高分解能で特定する技術が必要である. 本研究では,電気・電子機器からの不要放射の発生源を明らかにするために,放射源を高い分解能で特定するための技術を確立することを目的としており,以下のような研究成果が得られた. まず,球面走査装置を用いた場合の波源推定について,特に低周波領域での高分解能化を図るために,球モード関数を低周波近似してべき級数展開の係数を決定するアルゴリズムや,アレーアンテナの素子間結合による分解能の影響などを検討し,アレーアンテナを用いたMUSICによる波源探査の高分解能を図った. 次に,平面走査装置を用いて平面を走査した場合の波源推定のアルゴリズムを発展させ,プリント回路基板からの不要放射源の推定を行った. また,変調散乱素子を用いて,放射波源の周囲方向からリアルタイムで放射波の振幅を測定する方法を提案し,電磁波振幅測定システムを試作し,リアルタイムで多数の場所における電磁波の振幅が同時に測定できるようになった. さらに,放射波源の近傍電磁界を測定しても,元の電磁界分布を乱さない測定法を開発し,基礎実験を行った.これにより、ノイズ波源の近傍に不要電磁波の振幅を正確に測定することができ,より高精度で波源の位置推定ができることを確認した.
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