研究概要 |
本研究は,体表面上に多数点配置した小型・軽量加速度センサーを利用して,臓器特に,(1)胃運動,(2)呼吸器運動から発生する振動を計測するごとにより,各運動の。機能性状を非侵襲的に把握するPCベースの測定システムを開発するものである。これは,聴診器の代わりに小型・軽量センサーを利用したものであり,患者に負担をかけることなく,長時間に渡り臓器運動を記録・モニター可能であることが特徴である。また,この記録データを分析することで,患者の病態やビハビリ等による快復状態を把握できる利点がある。以下に(1)胃運動,(2)呼吸器運動に分けて,現時点での研究成果を記す。 (1)胃運動 胃は食道と十二指腸を夫々,噴門と幽門で組った消化器官である。センサーを夫々同門付近の体表面上に設置して,食塊がこの組れを通過した時の信号を検出することに成功している。また消化時には,胃の蠕動運動は2〜4[cycle/mini]であることが知られている。通常食の摂取の後,計測を開始し,臍付近に設置したセンサーにより同周波数のパワースペクトルのピークを検出すると共に,X線による透視画像から,同周波数の蠕動運動を確認した。現在,センサー数を4個として蠕動運動の速度,軌道推定問題を考察している。 (2)呼吸運動 上記COPD患者は,呼吸時での横隔膜運動機能が低下することが分かっている。従って,胸部に配置した加速度センサーにより,呼吸運動(腹式・胸式)時での振動信号を採取するとともに,冠状・矢状断面でのX線画像を同時測定し,振動信号と横隔膜運動画像との関連抽出作業から,同運動信号を抽出することを試みたが,未だ,信号の特定には至っていない。
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