研究概要 |
工業用計器として広く用いられている電磁流量計は種々の流速分布に対して可能な限り平均流量に比例した誘導信号が得られるように磁界が設計されている.しかし任意の流速分布に対応した理想的な磁界は存在せず,流速分布による影響を受け誤差を生じてしまう.逆に磁界を変動させることによって得られた信号から流速分布が推定できることが報告されている. 本研究では先行の2次元流速トモグラフィシステムの2次元的な解析原理を発展させた3次元解析を提案し,3次元的な流速分布の再構成を目指し,複雑な流速分布を持つ流れに対しても計測が可能な流量計の実現可能性を検討する.3次元システムとしては,8個のコイルと8個の電極の組み合わせを3次元的に2組配置した電磁流量計を想定した.数値シミュレーションのために管内に仮想的な層流旋回流を想定し,流速分布の再構成を試みた.再構成手法として,正則化最小二乗法を用いた.管軸方向の流速分布においては,2次元解析で有効であった拘束条件を付加した正則化を用いた.2次流れに対しての正則化として,管壁での滑りなし,連続方程式による制約が有効であることが分かった.また正則化パラメータが二つ存在する際のパラメータ決定法について,一般的に用いられているLカーブの手法を発展させた方法を提案した.このパラメータ決定法によって,より適した二つのパラメータの組み合わせを決定することができた.数値シミュレーションにより,管内に想定した流速分布の再構成が実現され,3次元流速トモグラフィシステムの実現可能性を示すことができた.
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