研究概要 |
本研究では,感度と相補感度を陽にあつかうことができる優れた特徴をもつIMCパラメトリゼーションによるロバスト制御系の構造解析と設計の体系化を行った.本研究の成果はつぎの通りである 1)本研究では,状態空間法をもちいて不安定多変数系を扱えるIMCパラメトリゼーション法を,IMCパラメータを3つに分けることで達成した. 2)YulaパラメトリゼーションのIMCパラメトリゼーションを行い,一般化安定器とIMCパラメトリゼーションとの関係を確立した.また,IMCパラメトリゼーションの2自由度化をおこない,状態フィードバック行列は目標入力に対する応答,オブザーバゲインは,外乱に対する応答の調整という役割が明確にした. 3)目標入力の定常偏差0で追従させるために内部モデルを含んだY型サーボ系は,通常の一般化安定器で扱えない.これをIMCパラメトリゼーションで扱う方法を確立した. 4)従来のH無限大制御では,できなかったより低感度を実現できる2デイスク混合感度仕様を満たす制御系設計を与えた. 5)H無限大制御は入力外乱応答の悪さといた構造的な問題があることを,IMCパラメトリゼーションから明らかにし、入力外乱応答を改善できる制御方法を与えた. 6)内部モデル制御の構造を用い,適応制御をもとに同定する方法を与えた.また,同時に,同定したパラメータをもちいてIMCを行う適応IMCも提案した. 7)むだ時間を含む系に対する状態予測制御のIMCパラメトリゼーションを行い,ロバスト制御構造を解析し、むだ時間変動に強いロバスト安定な制御系設計方法を確立した.また,予測器のむだ時間をPade1次近似することで,むだ時間変動に強い,よりロバスト安定な制御系設計方法を確立した. 8)多変数系をIMCパラメトリゼーションで設計するとき,逆システムや非干渉化法を用いる.不安定零点をもつ対象にたいして,安定な逆システムや非干渉化法を与えた. 9)上記の成果をもとに、PID制御からH無限大制御まで、むだ時間をもたない系からむだ時間をもつ系までをIMCパラメトリゼーションによるロバスト制御系の設計法として体系化した.
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