| 研究概要 |
得られた成果を以下に記述する。
1.ウェーブレットスペクトルの比から伝達関数を近似的に得るための条件について検討した.
2.1.に関連して,ウェーブレットスペクトル推定値から伝達関数を推定する方法(間接法)と,新たに提案した入出力を直接ウェーブレット変換する方法(直接法)との比較研究を行った.その結果,アナライジングウェーブレットと重み関数の選択により,かなりの自由度で所望のフィルタ特性(例えば,高域遮断特性)が実現できることがわかった.
3.2.においてガボールウェーブレットのような複素型のウェーブレットを採用する場合について,相関関数のウェーブレット変換によるスペクトルの推定値のバイアスを抑制することを明らかにした.
4.火力発電所内ボイラの分散制御系の同定,および脱硝制御系にウェーブレットを応用して,フィードバック制御系の同定を行い,提案手法の有用性を実証した.
5.制御系の安定な前向き要素に無駄時間が存在し,フィードバック要素がある場合に対して,ウェーブレット変換による無駄時問推定問題を考察し,従来の推定方式を拡張する形で適用できることを証明した.
6.車のタイヤ音とトレッドパターンの関係をウェーブレットを用いた相関解析により明らかにした.
7.遅れや反射がある音響信号のBSS問題に,ウェーブレット変換を適用し,周波数を固定した形で時系列信号に変換して従来法の適用を可能にし,実データに対して推定精度の劣化が抑制できることを示した.
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