研究概要 |
ヒートアイランド現象の原因の一つとして指摘されているのは,冷房室外機や自動車からの人工排熱が多いことに加えて,日射を吸収したコンクリート面からの輻射熱で日中,高温の状態が持続することである.とくに,コンクリート構造物の外壁,柱および梁の側面などは直射日光を受けることで熱源体となりやすいことから,このような構造部材表面を保水生を有する建設材料で被覆し,水分蒸発により気温を下げるための材料の開発・研究は極めて重要であることが本研究の背景となっている. このような背景に基づき,本研究では,全国各地に存在する中で吸・保水性の高いといわれている秋田県産火山礫を用いたポーラスコンクリートを用いることにより,ヒートアイランド現象を緩和することを目的とした.このため,まず火山礫粒子内の水分蒸発に伴う気化潜熱による気温低下を想定して,各種ポーラスコンクリートを製造して水分蒸発の特性値を評価し,基礎物性値の測定を主として室内試験にて明らかにした(平成14年度). 次に,製造したコンクリート平版を用いて屋外暴露試験を実施し,断面中心温度や日射量の測定結果から熱収支計算を実施し,気温の上昇を抑制できる配合を選定するとともに,このコンクリートの乾湿繰返しによる耐久性を検討した(平成15年度). また,引き続き屋外暴露試験を実施し,冬期における耐久性を検討するとともに,普通コンクリート版上へ設置した場合の普通コンクリートの熱源効果の低減を版内部断面中心温度の測定結果より明らかにした(平成16年度).
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