研究概要 |
本研究で得られた主な知見は,以下のようである. 1.活性を有しない鉱物質微粉末であっても,セメント水和物を架橋接続し,セメント硬化体の強度増加に寄与する.この場合に,水和物間の架橋接続を効果的に実現させること(狭義の架橋接続効果)による圧縮強度の増加量は,セメントペースト中のセメント量(W/C比),材齢によっても相違するが,一般には0〜5N/mm^2程度である. 2.セメント量の一定割合をこれと同体積の活性を有しない鉱物質微粉末で置換した場合,基準モルタルの強度に対する鉱物質微粉末混入モルタルの圧縮強度比は,モルタルの水粉体体積比が大きい場合ほど小さくなるが,材齢,温度および微粉末の比表面積が相違してもほぼ同じ値となる. 3.セメントの一部をこれと同体積の活性を有しないけい砂粉末で置換したモルタルを基準モルタルとする手法を適用すれば,各種コンクリート用混和材がモルタルの強度発現に寄与する効果や活性度を正しく評価することができる. 4.活性を有する鉱物微粉末は,水セメント比が0.40程度より大きい範囲において,その結合能力を効果的に発揮する. 5.フライアッシュの活性(ポゾラン反応性)は,温度依存性がきわめて高く,10℃以下の温度条件下ではI種のフライアッシュでも材齢91日の強度増加にもほとんど寄与しない.これに対し,常圧の高温条件下であれば,品質が劣るIII種およびIV種のフライアッシュでも,良好な強度増進効果を発揮する.
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