研究概要 |
本研究の目標は連続的に衝撃波を発生することの可能な衝撃波発生装置の開発であった.当初の計画では,ニューマチックバルブを用いてこの目標を達成する予定であった.ニューマチックバルブとは,圧縮空気を用いてバルブの開閉を高速に行い、衝撃波を発生させる装置である. しかしながら,ニューマチックバルブを用いる場合,圧力容器への空気充填に時間を要することが判明した.そこで,衝撃波を発生する方法として,燃焼現象を用いることとした.プロパンガスと空気の混合気体を爆発的に反応させて,衝撃波を発生させるのである. 内径30mm,外径50mmのアクリルパイプを用いて,混合室と燃焼・衝撃波誘導室とを有する燃焼タイプの衝撃波発生装置を開発した.燃焼室にはプラグを取り付け,放電によって点火をおこなった. 衝撃波管の先端から500mmの位置に壁を置いて,その表面上での圧力変化を測定したところ,約4kPaの衝撃波を確認できた.さらに,人工欠陥を埋め込んだコンクリート壁を用いて,欠陥の探傷試験を行ったところ,直径200mmの欠陥に対しては,深さ50mmまでの検出が可能であった. 以上の研究成果は,2004年3月に行われた,The 1st ESHP Symposiumにおいて発表を行った.さらに,現在日本機械学会に投稿準備中である. 一方,人工欠陥を埋め込んだコンクリート試験片の振動シミュレーションを行う過程で,壁面を加振するのに必要なエネルギーが明らかになった.この必要なエネルギーレベルは,スピーカーを用いて正弦波状の音波を照射しても得られる.そこで,スピーカーを配置して,音響加振による非接触非破壊検査法も開発した.この場合の音響レベルは107dB程度とした.実際にはさらに低い音圧で探傷可能であるが,音圧を下げると加振エネルギーが低下し,探傷に要する時間が増加する.直径200mmの場合、深さ25mmであれば2.5s程度,深さ50mm程度であれば10s程度の時間を要する.100mm程度の深さまで検出可能であった.この研究成果は,非破壊検査協会において公表した.
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