研究概要 |
道路および空港滑走路で車両が安全に走行するためには十分なすべり抵抗が必要であるが,このすべり抵抗は路面の大小のテクスチャに影響されているため,路面を維持管理する場合には,十分なすべり抵抗を発揮するためのテクスチャを確保することが重要になる.数年前までは,技術的問題により,10^<-6>mピッチのマイクロテクスチャレベルでの路面プロファイルの測定は不可能であった.しかし,レーザーセンサーの発達により10^<-6>mピッチの分解能で測定が可能になった.そこで本研究では,今まで明らかにされていなかったマイクロテクスチャとすべり抵抗の関係を明らかにしようとするものである.また,それと同時に,タイヤと路面との接触状態を考慮するために,圧力測定用の感圧フィルムを用いて貫入圧を測定し,マイクロテクスチャと合わせて解析を行った. その結果,走行速度が14km/hでのすべり摩擦係数は,プロファイルのスペクトル解析結果から得られる周波数100〜10,000[c/m]の低周波成分,すなわち,波長0.01mm〜1cmでのPSD値が比較的強く影響していること,各供試体表面プロファイルのフラクタル次元と14km/hでのすべり摩擦係数との間に比較的高い相関が見られ,この結果からプロファイルをフラクタル次元化した値はすべり摩擦係数を説明する上で一つの指標になりうる可能性のあること,圧力測定用の感圧フィルムを用いて被度(接地面積率)と貫入圧力を算出することにより接地状態を考慮し,すべり摩擦係数を推定することが可能であること,また,すべり摩擦は,プロファイルのスペクトル解析結果から得られる全周波数帯でのPSD値,フラクタル次元,および,画像解析によって得られる貫入圧係数を用いることによってかなり高い精度の予測が可能であることなどが明らかになった(761文字).
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