研究概要 |
1.概要 RC製橋脚の主筋の違いによる耐震性能すなわち変形性能を検討するために,断面の幅(200mm)×高さ(250mm)で,異形鉄筋(10-D13)を主筋とするB13-Type,コンクリート充填鋼管CFT(4-φ42.7x2.3)を主筋とするT43-Typeおよび径厚比の小さなCFT(6-φ27.3x2.3)を主筋とするT27-Typeの3種類のRC柱を製作した.荷重条件は一定の軸力比(N/N_Y-5%,10%)で横荷重を単調または交番載荷とした.断面の設計においてはN/N_Y-5%の一定軸力と曲げが作用するとき,材料の公称値を用いたそれぞれのタイプの終局強度が等しくなるように鋼材の量および配置を決めた.鋼管とコンクリートの付着はあまり期待できないため,鋼管の両端にアンカープレートを溶接した供試体を用いたが,T43-Typeではアンカープレートと鋼管表面へのグリットブラスト加工を併用した供試体(T43G)も製作した. 2.結果 1)単調載荷においては鉄筋タイプの変形能(=終局変位/降伏変位)がCFTタイプよりも優れているが,地震荷重のような交番載荷においてはGFTタイプが優れている. 2)CFTの径厚比による変形能に対する効果は,用いた供試体(D/t=18.6,11.9)では認められなかった. 3)曲げ耐荷力は軸力比10%の場合が軸力比5%の場合に比べて大きくなるが,逆に変形能は軸力比10%の場合が軸力比5%の場合に比べて小さくなる.軸力の付加モーメントよりも交番荷重によるコンクリートの劣化の影響が大きい. 4)交番載荷を受けるRC橋脚におけるCFT補強筋の有効性を示した.また,グリットブラストにより鋼管とコンクリートの付着を強化することにより靭性率の改善が見られた. 5)CFT複合柱の曲げ耐荷力は,断面分割法を用いて十分な精度で評価できることがわかった.
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