研究概要 |
本研究で得られた結果を以下にまとめる. (1)本研究は,高架橋橋脚等への適用を視野に,その経済性を鑑み,わが国の基準類での制限径厚比を越える大径厚比(薄肉)鋼管を用いたコンクリート充填円形鋼管の中心圧縮特性を実験的に検討したものである.設定した実験変数は径厚比と充填するコンクリートの圧縮強度の二者を選び,計12体の供試体に対し載荷実験を行った.得られた結果より,その中心圧縮耐力は制限径厚比を越えても,母材強度の単純累加値を越え,充填コンクリートの鋼管による拘束効果を考慮した耐力にまで到達することが明らかになった.また,耐力到達の際の破壊形式は,鋼管端部の円環状局部座屈が先行し,その後コアコンクリートが斜め方向に滑り破壊するものであった. (2)鋼・コンクリート二重鋼管合成部材(以下,DCFTとする)とは,同心円上に2つの異なる径の鋼管を配置し,それらの間にコアコンクリートを充填した断面を有する.これにより,従来のコンクリート充填鋼管柱(CFT)と比較して,軽量となる利点を有する.そこで本研究では,外鋼管の径厚比およびDCFT特有の変数である内径・外径比が,中心圧縮強度に与える影響について計12体の供試体に対し載荷実験を行った.得られた結果より,その中心圧縮強度はCFTの中心圧縮強度算定式を用いておおむね良好に評価できた.また,破壊形式はコンクリートのせん断とそれによる鋼管の座屈が生じる破壊であった.
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