研究概要 |
1.高速せん断力載荷治具の開発 高速載荷の条件で繰り返し純せん断力を載荷できる治具を開発した.この治具は次の特徴を持つ. 1)せん断力を受ける正方形鋼薄板の4隅が載荷治具の軸受の回転中心と一致する. 2)そのため,理想状態に近い純せん断力が鋼板要素に作用する. 3)降伏せん断ひずみの約±100倍に相当する大変形域・非弾性域に至る実験が可能である. 2.高速載荷の動的せん断力を受ける鋼腹板の弾塑性応答実験 1辺が200mmで板厚2.3,3.2,4.5,及び6mmの正方形鋼板からなる腹板供試体を計50体製作し,以下の4種類の実験を実施した. 1)準静的な単調増加せん断力を仮定した載荷実験 2)正負の最大せん断変形角を降伏せん断ひずみの約20倍とした準静的な繰り返しせん断力載荷実験 3)正負の最大せん断変形角を降伏せん断ひずみの約20倍とした高速動的せん断力載荷実験 4)オンライン実験手法による地震応答実験 3.まとめ 1)せん断力を受ける鋼腹板の動的弾塑性実験を行うための載荷治具を考案・試作した. 2)降伏せん断ひずみの約120倍に相当するの高速せん断力(約0.25rad/s)載荷が可能になった. 3)実験結果から,ひずみ速度の増大によって,弾性域から塑性域に至る1回目の処女履歴ループにおけるせん断降伏点の上昇が顕著になることを示した. 4)リアルタイムのオンライン地震応答実験については,変位制御のアクチュエーターに十分な精度を確保できなかった.アキュムレーターの設置について検討が必要である. 5)せん断力を受ける腹板の地震応答性状を明らかにするためには,今後,降伏せん断ひずみの400倍程度の超高速載荷実験が必要である.
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