研究概要 |
地震時に地盤が液状化すると地上にある構造物は沈下し,地中に埋設された軽い構造物は浮き上がる。このように,液状化の発生のみでなく,液状化による地盤や構造物の変形量(沈下や浮上り量)を考慮に入れた液状化に対する設計方法の開発が必要である。そこで,本研究は事例研究,模型実験,室内実験,解析などをもとにして変形量の許容値を明らかにし,それをもとにした設計方法,対策方法を開発することを目的として行ってきた。本研究で得られた結果は以下の通りである。 1 直接基礎の木造家屋の沈下量に関して,2000年鳥取県西部地震における被災事例を詳細に調べて,許容不等沈下量・傾斜角を検討した結果1/100程度傾斜すると居住出来なくなることが分かった。 2 締め固めによる対策に関して残留変形解析を適用したところ,改良効果をこの解析でも良く表現できる事が分かった。 3 間隙水圧消散工法による地盤改良が直接基礎の沈下量を軽減する効果に関し有効応力法による地震応答解析も行ったところ,レベル2地震動といった大きな地震動のもとでも構造物の沈下量を軽減できる事が確かめられた。 4 地中構造物の浮上りに関して羽根をつけて浮き上がり難くする対策方法を考案した。そして振動台による模型実験を行ったところ,その有効性が確かめられた。さらに,このような浮上りを簡易的に解析できる残留変形解析を適用してみたところ,浮上り量をよく推定できることが分かった。 5 本研究期間中に2003年十勝沖地震が発生し,液状化に起因して下水道施設が甚大な被害を受けた。特にマンホールが多く浮き上がったがこの原因は埋め戻し土の液状化にある事が分かった。また,浮上り量は埋設深度に比例していた事も分かった。
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