研究概要 |
申請者の従来の研究課題(課題番号:12750470)における成果を踏まえ,認知科学および社会調査論に関する調査および研究を整理し,これらの研究分野と経済学的観点からの便益評価理論の共通点および未だに明らかにされていない理論的課題を整理した.この際,認知科学分野で最先端の研究が進んでいると言われている米国Stanford大学等での研究成果を重点的に調査した. 本研究では,被験者(リスク軽減事業投資がなされる地域住民)が,リスクを主観的に捉えた場合に,その事業を実施するか否かという選択肢に対する心理的な構成が変化するというフレーミング効果を理論的に説明し得る,効用理論を検討し,意思決定モデルを開発した.さらに,この意思決定モデルから誘導されるリスク軽減事業投資の便益を定式化した. 上記で構築した理論に用いるためのSPデータを作成するために,理論に整合的である調査票を作成し,少数サンプルによるプレ調査を実施し,その結果を統計解析することにより,サンプリング上具備すべき点,調査票の不備および改良点を明確にした.なお,この際,被験者に対して調査票における不明瞭な点および改良が望ましい点をヒアリングし,調査票の設計変更に活かすものとした. 上記で得られた知見をもとに,本研究で構築した理論を実証的に適用するための調査票を再設計した.さらに,極少数サンプルによる第2次のプレ調査を実施し,調査票の再々設計を行うとともに本調査に向けてのサンプリングおよび調査体制等を吟味した.
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