研究概要 |
1.ベータ線のC.parvumオーシスト不活化力 C.parvumオーシストの感染性は放射線の照射線量が増加するに従って指数関数的に減少し,2log_<10>不活化照射線量はガンマ線およびベータ線でそれぞれ94Gyおよび92Gyであった。しかしながら,生育活性は抵抗性を示し,2log_<10>不活化照射線量はガンマ線およびベータ線ではそれぞれ13,000Gyおよび12,000Gyであった。また,ガンマ線不活化に及ぼす水温および照射線量率の影響は認められなかった。 2.ベータ線照射したC.parvumオーシストの暗回復 500keVのベータ線の100Gyあたりの切断数は,一本鎖切断が0.85/10^3bp,二本鎖切断が0.03/10^3bpとなった。また,3MeVのベータ線の100Gyあたりの切断数は,一本鎖切断が1.00/10^3bp,二本鎖切断が0.1/10^3bpとなった。以上の結果から低エネルギーのベータ線を照射すると二本鎖切断数が減少することが明らかとなった。 ベータ線を照射したC.parvumオーシストの光回復および暗回復について,動物感染試験とDNA上の一本鎖切断および二本鎖切断数を定量する電気泳動/コメットアッセイ法で評価した。その結果,一本鎖切断数は暗所静置によって明らかに回復したが,感染力は蛍光灯光線を照射しても暗所に静置しても全く変化しなかった。 3.ベータ線のC.parvumオーシストの不活化に及ぼす濁質の影響 濁質と汚泥を混合した試料にベータ線を照射したところ,動物感染試験の結果はモデル計算値とほぼ同じになった。また,ベータ線を照射した実験では,オーシストが汚泥中に存在してもリン酸緩衝液中に存在しても不活化レベルに差は認められなかった。
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