研究概要 |
1964年に新潟で発生した地震以来,飽和土の液状化発生機構や液状化時の地盤抵抗などが徐々に明らかにされている.しかし,近年大地震時の液状化による被害が多く報告されており(例えば1993年北海道南西沖地震,1995年兵庫県南部地震,2000年鳥取県西部地震など),兵庫県南部地震では,沿岸部から埋め立て地盤の広範囲で大規模な液状化が生じ,建築物の杭基礎で多くの被害が発生した.杭基礎の被害の原因に関して,多くの研究者達によって調査されたが,建築物を支持する杭が水平力を受けるときの設計法を確立するためには,未だ多くの未解明な点が残されており,特に地震時に間隙水圧が上昇するに伴って杭周辺地盤の有効応力が低下することを考慮するような場合には,未解明な点が多く残されている.このことより,本研究では浸透圧により飽和地盤中の間隙水圧を上昇させることで,有効応力を制御する方法で擬似的に液状化状態を再現できる実験装置を開発し,同装置により模型杭に作用する地盤力を調査する水平載荷試験を実施した. 本研究を通して得られた知見,以下のようである. 1.ある深さにおいて杭に作用する水平地盤反力は,杭の水平変位に関して双曲線関数で近似でき,その関数曲線の初期勾配および収斂値は,それぞれ水平地盤反力係数および極限水平地盤反力と関係づけられる. 2.初期の水平地盤反力係数および極限水平地盤反力は,深さと共に線形的に増加(すなわち,三角形分布)し,また地盤内有効応力の減少に伴って,これらは減少する.これらの結果から,地震時における地盤内有効応力減少を考慮した地盤反力法に基づく杭基礎の新しい設計法を提案することができた. 3.さらに,杭周辺地盤の非線形性をもつ連続体および極限水平抵抗を考慮した三次元理論に基づく群杭基礎の解析法も提案することができた.
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