研究概要 |
本研究では,粉体をスラリー化して高性能減水剤を大量使用することなしにコンクリート用混和材として大量有効利用する方法を確立することを目的として検討を行い以下の成果を得た. (1)石炭灰をスラリー化することによりコンクリートに混合する際の高性能AE減水剤量添加量を低減できることを示した.この効果を得るのに必要なスラリー化の期間を示し,これ以降は撹拌を停止しても効果が持続することを確認した. (2)石炭灰スラリーを使用するコンクリートの調合則として新たに両割調合を提案し,これを強度設定型調合として位置づけ,その基礎方程式を示した.強度設定型調合では単味コンクリートと同じ強度を単位セメント量と単位石炭灰量を調節することにより得ることができるため,合理的なコンクリートの調合設計が可能となる. (3)石炭灰スラリーを大量混合した中流動及び高流動コンクリートは,実機プラントにおいても容易に製造可能であり,型枠への充填性が良好であることを確認できた.圧縮強度においては,これまでの室内実験と同様に石炭灰を外割混合することにより,石炭灰無混入のコンクリートと比較して,初期から圧縮強度が高く,材齢とともにその差が大きくなることを確認した.さらに,石炭灰外割混合コンクリートは,石炭灰無混入コンクリートと比較して,構造体の高さ方向の強度の変化が小さい,均質な構造体となることが確認できた.
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