研究概要 |
本研究は,都市環境装置の維持管理状況などの設置上の実態と都市環境装置の製品性能との関係を探ることによって,都市環境装置が街路の環境形成に及ぼす影響や効果などの要因を明らかにし,その要因を持続性のある都市環境形成に求められるレジビリティ(わかりやすさ)とアンビギュイティ(多様性)の両面において活用し構築するための都市環境装置デザイン方法の指標を導き出すことが目的である。都市内の主要街路における都市環境装置の維持管理などを含めた所用状況に関する既設ポール型都市環境装置の現状に対する実態調査および分析の結果では,メンテナンスの体制および方法の見直しが必要な状況であることが明らかになった。このことから,ポール型都市環境装置においては多様な設置場所や設置後のメンテナンスへの対応を考慮した新たな装置の開発が必要であることを導いた。装置の製品化においては,製品開発の計画の段階から設置後のメンテナンスを充分に検討する必要があることなどを導いた。そして地域化や術路特性が都市環境装置の持続性に影響を与える要因の分析について主要街路の整備計画時と現状との比較分析及び考察し,現状調査事例の事業者または管理者への整備経緯に関するアンケート調査分析を実施し,実態調査分析と合わせて検討した。その結果,ショッピングモールの持続性,街路構成の持続性,都市環境装置の持続性など,3つに分類することができた。また,ショッピングモールの街路構成の形態に直接的に関係してくるのは利用者,都市環境問題,空間で,街路構成の計画の中心となる要素であることをわかった。それは,商店街の活性化,利用者からの陳情,維持管理の問題といった様々な要請に直面した時,街路構成の計画の維持が最優先されるとは限らず,必要であれば商店街の持続の為に大規模改修により全てやり直すということである。それらから,街路構成の計画を持続させていくためには,人々に長く利用される中で特有の価値が醸成されていくという持続性に対する認識を商店街,行政,設計者の計画サイドの人間が共有しておく必要があることに至った。
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