研究概要 |
本研究では、高齢者の地域ケア拠点の1つとして公民協働型の宅老所を取り上げ、宅老所の構築と支援システム化について検討することを目的としている。高齢者の日常生活では、孤独な高齢者の話し相手、声掛けによる安否確認、寝たきり老人の留守番代わりなど、そこに住む地域住民の支援や援助が不可欠である。行政側かる支援だけでなく、地域住民との公民協働型の協力関係がますます重要になってきている。高齢者といっても元気な老人から介護が必要な高齢者まで多様であり、高齢者が地域で住みつづけられるためには、高齢者を取り巻く住生活環境を整え、高齢者の支援システムを地域社会のなかに構築していくことが重要な課題である。本研究の目的に即した具体的な作業は、(1)宅老所を利用する高齢者、宅老所の運営を支えるスタッフの参加形態をまとめる。宅老所は高齢の利用者で構成される一方、その利用を支援するボランティア活動から成り立っており、相互で多様な作用を作り出している。(2)宅老所の開設、運営過程における住民や近隣機関との協力関係を明白にする。宅老所は、住居・商店などを増改築して利用しているケースが多いが、その社会的な意味合い、潜在的な人的資源の発掘との関わり方をとらえる。(3)宅老所における空間利用の動態変化を明らかにする。宅老所が、開設以前の住宅・商店などから空間、設備などを変更し、ケア環境を作りあげていく過程や状況を明瞭にする。宅老所のサービス内溶、施設の改修費用や負担などを併せて検討する。以上の項目を愛知県高浜市、富山県、滋賀県について調査し、分析を行ってきている。上記(1)〜(3)の検討内容について、地域による宅老所の違い、特質、デメリットを比較考察しつつ、問題点の整理・改善の方策を検討し,提案を行っている。
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