研究概要 |
本研究ではSi_3N_4-SiO_2-Y_2O_3系化合物の合成方法を確立し,高密度焼結体を作製してそれらの熱的・力学的性質を調べた。また,メリライト構造を有するLn_2Si_3O_3N_4(Ln=Nd,Sm,Gd,DyおよびEr)に着目し,これらの合成条件を確立するとともに,蛍光特性を調べた。 Si_3N_4,SiO_2およびY_2O_3粉体をそれぞれのSi_3N_4-SiO_2-Y_2O_3系化合物の化学量論比となるように混合・成形したのち,1450〜1650℃で種々の時間,N_2気流中で加熱して目的の化合物を得た。同様に,各種Ln_2Si_3O_3N_4(Ln=Nd,Sm,Gd,DyおよびEr)の合成も上記の方法に準じて行い,目的の化合物を得た。 Si_3N_4-SiO_2-Y_2O_3系化合物の成形体を1700〜1800℃でホットプレスしたところ,得られた焼結体の相対密度は98.4〜99.1%に達し,いずれの場合も高密度焼結体を作製することができた。焼結体の曲げ強度はYSiO_2N(249MPa)>Y_2Si_3O_3N_4(193MPa)>Y_4Si_2O_7N_2(177MPa)>Y_5(SiO_4)_3N(144MPa)の順になった。また,耐熱性はY_2Si_3O_3N_4(約1100℃)>YSiO_2N(約1050℃)>Y_5(SiO_4)_3N(約850℃)>Y_4Si_2O_7N_2(約800℃)の順になった。 Ln_2Si_3O_3N_4(Ln=Nd,Sm,Gd,DyおよびEr)について,これらの化合物に近紫外線を照射するとGd_2Si_3O_3N_4の場合だけが単独で発光した。このGd_2Si_3O_3N_4に対してSm^<3+>を付活剤として添加したところ,300nmの光で励起して601nmの赤色を発光した。この材料の相対発光強度は1.8であり,良好な値を示した(標準物質:CaWO_4)。 以上の結果より,Si_3N_4-SiO_2-Y_2O_3系化合物の熱的・力学的性質を解明するとともに,Gd_2Si_3O_3N_4を蛍光材料として使用するための基礎を確立することができた。
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