研究課題
基盤研究(C)
本研究は、最近開発された低コスト炭素繊維複合材料の一種である三菱レイヨン製のTRK180M/1053低温硬化型12K開繊平織炭素繊維/エポキシ複合材料を材料評価研究の対象に取り上げた。供試材料に対し低コスト化のために採用した方法は、(1)12K開繊平織物/エポキシプリプレグを使用したこと、(2)成形硬化の方法に脱オートクレーブ真空成形を使用したこと、および(3)低温成形硬化法、すなわち120℃で成形硬化を行い、その後180℃でポストキュアを実施したことである。研究目的は、室温およびマトリックス樹脂としては過酷環境である高温環境下において、供試材料の静強度および疲労強度を調べ、疲労による損傷発生・進行の様子を明らかにし、低コスト炭素繊維複合材料としての実用性を評価することであった。実施した試験内容は、(1)室温と110℃までの高温における無孔試験片および有孔試験片に対する引張と圧縮の機械的特性および損傷を調べること、(2)室温と110℃において有孔試験片のS-N(応力-寿命)関係を3種の荷重形式、引張、圧縮、引張-圧縮の一定荷重繰返し疲労試験により調べること、および(3)CCD顕微鏡とX線CT装置を用いて、室温における引張、圧縮疲労過程における損傷の発生と進行の様子を調べることである。試験の結果から、供試材料はボイド抑制に課題が残るとしても、それ以外には脱オートクレーブ真空成形硬化法に起因した問題点は見当らなかった。すなわち、平織物複合材料としての静強度は他の繊維直交材料と比較して遜色がなく、疲労強度は同等の機械的性質を持つ一方向繊維積層材料の場合と比較して妥当と考えられ、また100℃近傍における静強度や疲労強度にも大幅な低下等は見当らなかった。以上により、供試材料は低コスト炭素繊維複合材料として十分な実用性があると評価できた。
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第42回飛行機シンポジウム講演集、日本航空宇宙学会 (CD-ROM)
第42回飛行機シンポジウム講演集 (CD-ROM)
Proceedings of the 42nd Aircraft Symposium, the Japan Society for Aeronautical and Space Sciences, Yokohama, 8/10/2004, (in Japanese) (CD-ROM)