研究課題/領域番号 |
14550687
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
構造・機能材料
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
堀 史説 大阪府立大学, 先端科学研究所, 助手 (20275291)
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研究分担者 |
谷口 良一 大阪府立大学, 先端科学研究所, 講師 (60155215)
大嶋 隆一郎 大阪府立大学, 先端科学研究所, 教授 (50029469)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2003年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2002年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 陽電子消滅法 / 金属疲労 / 陽電子ビーム / 格子欠陥 / 転位 / 原子空孔 |
研究概要 |
本実験を行うにあたり、陽電子線源として陽電子ビーム装置の開発を行った。今回、本装置による疲労試験片の測定には至らなかったが、50x30x30cm^3程度の小型の陽電子銃を設計・作成し、数10kVの高電圧により陽電子ビームを取り出し、2次元光子計数装置を用いて陽電子イメージングを行った。また、計算機シミュレーションにより本装置を用いて0.23mm程度までビーム系を収束できることがわかった。また、陽電子ビーム装置を用いた疲労試験片のシミュレーション実験として従来の薄膜で密封した陽電子線源による疲労試験片の陽電子消滅実験を行い、以下の結果を得た。 純鉄およびオーステナイトステンレス鋼SS304についてJIS規格疲労試験試料を複数枚作製し、それぞれの試験片を低サイクル疲労させ、陽電子消滅測定を行った。鉄は格子欠陥の素性がわかりやすく陽電子寿命からの欠陥種の特定が可能であり、また実用鋼のシミュレーションとしてSS304を用いた。その結果、両試料における疲労に対する陽電子寿命、ドップラー測定の傾向ともほぼ一致しており、陽電子による疲労欠陥検出に汎用性が高いことが示された。また、0.01%Nf(破断繰返し負荷回数=100%Nf)という疲労量でも敏感に欠陥を検出した。以上から極低疲労量での微小欠陥分布の陽電子による可視化の有効性が示された。一方、疲労初期段階での欠陥の成長過程については以下のことが分かった。 空孔型欠陥が試験片の応力集中箇所と同じ部位に観察され、その後の疲労によって空孔は転位に捕獲され、10%Nf程度のサイクルでそれらと同等の部分に急激に空孔が成長し、そこで破断が起こることがわかった。すなわち陽電子消滅法により亀裂発生の前駆現象を捕らえることが可能であることが示された。これらの欠陥評価方法として、測定の簡単なドップラー拡がりで測定しピークハイトによる解析で比較的簡便に疲労による亀裂発生の前駆現象を部分的に検出することが可能であることを示し、本手法による疲労亀裂発生予知の有効性を示した。
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