研究概要 |
非常に大きな比面積(3000m^2/g)を有する活性炭をバインダー(ポリビニリデンフルオライト,PVDF)と混合してペーストとし,Ti箔(集電極)に塗布して電極とし,0.5M硫酸水溶液を電解液に用い,電気二重層キャパシタを作製した。その静電容量は258F/gと小さかった。 キャパシタの容量を高めるための一方法として,可逆プロトン電気化学反応を起こすキャパシタンス物質である二酸化ルテニウムRuO_2と活性炭を組合せ,複合(ハイブリッド)キャパシタとすることを試みた。活性炭に少量の水酸化ルテニウムを担持し,空気中で150℃,30分加熱して,RuO_2担持活性炭を得た。RuO_2を5wt%担持をしたとき,最高の容量348F/gが得られ,その増加量は担持したRuO_2量から期待される容量増加を大幅に上回った。これは,RuO_2担時活性炭を加熱乾燥中にRuO_2の酸化作用により活性炭表面が侵され,あらたにメソ孔が形成され,その部分にも電解液が入り込んだ結果,容量が増加しているためであることがわかった。 次に活性炭の利用率を高めるため,導電材としてケッチェンブラック(KB),およびホウ素添加親水性アセチレンブラック(WWAB)をペースト状にして活性炭に添加し,種々容量を測定したところ,KB,およびWWABの添加量がそれぞれ4wt%,9wt%のとき,最高値329F/g,359F/gを示した。これらの値は無添加のときに比べ,それぞれ27%,39%の増加であった。ペースト状にすることにより,導電材の分散性が向上していることをSEMで観察した。導電ネットワークの構築により活性炭の利用率が向上したためと考えられる。
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