研究概要 |
環境中の有害物質を回収除去する問題に対して,一部の天然鉱物が有効利用できる可能性が以前より示唆されているが,ここで問題になるのが,それらを「どのように利用するか」という点である。広い接触面積をもってそれらを水,空気等と接触させることができ,なおかつ取り扱いを容易にする一つの手段として「大口径の貫通孔を有する骨格構造表面への,鉱物粉末のコーティング」が考えられ,これができれば,環境中に投入するだけで有害物質を除去できる「投入型環境浄化モジュール」が実現できる可能性がある。こうした背景を踏まえ,本研究では高機能天然鉱物を利用した電気泳動堆積による環境浄化モジュールの作製を最終目標とし,その作製プロセスを最適化するための種々の機能性天然鉱物微粉末(ゼオライト,オパール状シリカ,等)の電気泳動堆積特性,さらには固定化手法について検討することを目的とした。研究は(1)天然ゼオライト(秋田県産・クリノプチロライト)微粉末の固液反応による固定化の可能性の検討,(2)(1)の固液反応における反応物質(天然ゼオライトと反応させる物質)の組成の影響,(3)新規な吸着材としての可能性を有するオパールCT微粉末の電気泳動堆積の検討,の3つに分かれる。その結果,主に(1)NaO-Al_2O_3-SiO_2-H_2O系の反応物質を用いた個液反応によって,天然ゼオライト微粒子集合体の粒成長と,結合組織の発達を促進させることができること,(2)固液反応に用いる反応物質の組成を変えることで,天然ゼオライト(クリノプチロライト)から様々な種類のゼオライトを生成できること,(3)通常の電気泳動堆積では堆積させることが困難なオパールCT微粉末を,他の堆積し易い粉末(並質ガラス粉末)と共に堆積させることで,基板上に堆積させることが可能であること,等が明らかとなり,研究目的の遂行に対して有意義な結果を得ることができた。
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