研究概要 |
金属製マイクロ構造部材を用いてマイクロ接合した継手の品質を高めるために,新しい抵抗ろう接法,すなわち2段抵抗ろう接法を提案した.2段抵抗ろう接法の適用分野としては,医療用微小器具あるいはマイクロマシンの作製が想定される. 2段抵抗ろう接法では,接合が2段階の通電操作を行うことで完了する.第1段抵抗ろう接では,比較的小さな電気的エネルギーが入力される.この操作の目的は,母材端面にメッキしたろう材構成金属どうしの局所的接触箇所で融解・凝固を生じさせ,これらの電気的接触状態を均一化することと,通電時に測定した電流値を用いて第2段抵抗ろう接時の最適通電条件を決定することにある. 2段抵抗ろう接法が金属製マイクロ構造部材の接合に対して有用であることを示すために,直径100μmのSUS304ステンレス鋼棒の突合せろう接を行った.接合する2本のステンレス鋼棒の接合端面には,ろう材構成金属として,それぞれ金と銅のメッキを施した.これらのろう材構成金属は,通電時に継手部で発生するジュール熱によって合金化し,母材問に中間層を形成した. 引張試験で母材破断した継手は,すべて母材間に金を多量に含む合金の中間層が形成され,さらには中間層内にデンドライト晶が分散していた.引張試験で母材破断した継手の引張強さは600〜800MPaであった.このことは,2段抵抗ろう接法を用いて接合することで継手部での適正な加熱が実現され,母材の劣化が少なかったことを反映している.
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