研究概要 |
環境応答型徐放特質を持つ抗菌性香気物質包接シクロデキストリン被膜材料の開発に関して以下の研究課題を遂行した. 1.MCT反応基を有するβ-シクロデキストリン(MCT-β-CD)の和紙およびセルロース粉末表面への結合量の測定 MCT-β-CDを和紙およびセルロース粉末に固着させる手法を開発した.固着温度,に関する検討を行った.和紙およびセルロース粉末へのMCT-β-CDの固着量は,固着前の含水率,固着温度,及び溶液MCT-β-CDに依存した.固着反応はセルロース材料へMCT-β-CDの吸着と0次固着反応によって起こることがわかった. 2.和紙およびセルロース粉末に固着したMCT-β-CDへのヒノキチオールの包接 和紙またはセルロースに固着させたMCT-β-CDは抗菌物質のヒノキチオールを包接した.和紙に固着したMCT-β-CDにはヒノキチオールはMCT-β-CD1モルに対して約0.85モル包接された.この包接量はnativeなβ-CDのヒノキチオール包接量と同等であった. 3.抗菌性香気物質包接CDからの抗菌物質徐放特性の解析 MCT-β-CDおよび和紙やセルロース粉末固着MCT-β-CDに包接されたヒノキチオールの徐放特性を,50℃で種々の関係湿度で測定した.ヒノキチオールの関係湿度の増加につれて著しく増加した.徐放速度定数はAvrami式でうまく相関できた.固着したMCT-β-CDに包接されたヒノキチオールの徐放速度は,固着なしの場合に比べて徐放速度が低下し,徐放制御特性が観察された. 4.菌体の死滅速度の測定 落下細菌を対象に微生物増殖阻止特性を測定し,ヒノキチオール包接MCT-β-CDにその効果が著しいことを見いだした.
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