研究概要 |
申請者らが開発を行った市販のイオン交換膜とバイポーラ膜を組み合わせ,装置内に任意のpH勾配を形成する技術(特許公開2002-265494)を用い,食品廃棄物を加水分解する際に生成するアミノ酸の分離を行い,分離特性に及ぼす各種操作条件の検討を行うと共に,モデル解析を行った。 はじめに,装置の特性を調べるために,バイポーラ膜による水素イオン,水酸化物イオンの生成速度に及ぼす操作条件の影響について検討を行った結果,バイポーラ膜からの水素イオン及び水酸化物イオンの生成速度は電流密度の増加と共に増加し,その値は理論値とほぼ一致する事が明らかとなった。 次に,本手法におけるアミノ酸の分離挙動を調べるため,酸性アミノ酸のグルタミン酸と中性アミノ酸のメチオニンの分離,および中性アミノ酸であるアラニン,ロイシン,フェニルアラニンの分離,さらにはホエータンパク加水分解モデル溶液としてグルタミン酸,バリン,ロイシンを含む溶液を用いて分離実験を行い,分離特性に与える操作条件の影響について検討を行った。その結果,いずれの分離系においても弱アルカリ性の室を含むpHステップを用いることにより酸性アミノ酸と中性アミノ酸の分離は良好に進行することが明らかとなった。 本研究で得られた結果を基に,本手法におけるアミノ酸分離に関するモデルを構築し,数値解析によるモデルシミュレーションを行った。その結果,実験結果と解析結果は比較的良好に一致し,本モデルによりアミノ酸分離の挙動を推測することが可能となった。
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