研究概要 |
本研究の目的は,申請者が提案する高速・高倍率濃縮分離システムの創出によって環境水(河川水など)に存在する外因性内分泌攪乱物質(環境ホルモン)の定量分析を行なうことにある。三ヵ年の期間で,この目的を達成するための研究を遂行した。以下に各年度の主な研究成果を示す。 (平成14年度) (1)極性有機溶媒中で起こる新規相分離現象の各因子の最適化を行なった。 (2)均一液液抽出法による濃縮/高速液体クロマトグラフィー分析システムを開発した。 (平成15年度) (1)均一液液抽出法に適合した分析法としてキャピラリー電気泳動(CE)を見出した。 (2)固相抽出によるサンプル水の高速処理と均一液液抽出法との融合を行なった。ここまでの研究成果に基づき,青綿法/均一液液抽出法・CEオンライン濃縮法によって構成されるTriplex concentration system(TRICOM)を開発した。 (平成16年度) (1)河川水中の多環芳香族化合物(PAHs)の超微量分析を行なった。 (2)TRICOM法の評価を行なった。 本研究課題によって得られたTRICOM法は,環境水中に含まれる超微量PAHsなどの環境ホルモンを,全操作時間は1時間以内,最大濃縮倍率は1,000万倍(20L→2μl)で数pptの濃度レベルを分析することができる。今後,本法のコンセプトは,様々な環境試料に対して有用なだけでなく,サイエンスの根幹の一つである極限計測にブレークスルーを生み出す基礎となるものと期待される。
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