研究概要 |
酸化チタンは,近年,光触媒や色素増感型太陽電池材料など光機能性材料としてたいへん注目されている材料のひとつである。本研究では,酸化チタン焼結体や厚膜電極に対して、フォトエッチング処理を施し、そのエッチングサイト選択性について検討して表面形態を制御するとともに,応用としてガスセンサー特性について評価した。以下に、主要な結論を述べる。 1.酸化チタン焼結体電極のフォトエッチング条件と得られる表面形態との関連について検討した。強いアノード分極下においてフォトエッチング反応は、ルチル型構造を持つ酸化チタンのc-軸方向に進行し、それと平行な(100)面によって囲まれたナノメートルサイズの四角柱空洞部を有するエッチングパターン(ナノハニカム構造)が表面に形成される。そのエッチピットサイズは、主として電極のキャリア密度に依存して、数十から数百ナノメートルの範囲で制御できることがわかった。 2.フォトエッチング量の増加とともにナノハニカム構造を形成する壁面の溶解が進行し、結晶性で繊維状の試片から構成される酸化チタンナノロッド構造が形成されることがわかった。 3.酸化チタン焼結体の水素ガスセンサー特性を測定したところ、光電気化学エッチング処理により感度が増加するとともに、水素ガス雰囲気から空気雰囲気に変えたときの応答速度が速くなることがわかった。 4.酸化チタンペーストを熱処理して作製した厚膜電極のフォトエッチング処理により、焼結体電極と同様にナノポーラス構造が形成できることがわかった。これにより電極バルクの影響を減少させ、表面反応であるガスセンサー特性の向上が期待される。
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