研究概要 |
本研究では,典型的な非イオン性界面活性剤であるポリオキシエチレンアルキルエーテルC_iE_jゴ(iはアルキル炭素数,jはオキシエチレン基数)が水中で形成するミセルの静的および動的光散乱法による特性解析を行った。対象とした試料はC_<12>E_5,C_<12>E_6,C_<12>E_7,C_<14>E_6,C_<14>E_8,C_<16>E_7,C_<16>E_8,C_<18>E_7,C_<18>E_8で,主な研究成果は以下のとおりである. 静的光散乱測定結果の濃度依存性,回転半径とミセルのモル質量の関係,動的光散乱測定から得た流体力学半径とミセルのモル質量の関係がWormlike Spherocylinder(冠球みみず鎖円筒)Modelを用いた理論でよく表されることから,C_iE_jミセルはいずれもかなりの屈曲性をもつ円筒状であることが分かった。それらのミセルは,温度あるいは濃度上昇によって長く成長すること,その成長は疎水基が長い(iが大きい)ほど著しいことが判明した。また,ミセル断面の直径は約2.4〜3.0nm,ミセル表面の親水基間距離は約1.2〜1.5nmで,iとjの値によってそれほど大きくは変化しないことも解った。これらのミセル水溶液は下限臨界共溶点を持つ相分離を示すがその温度と濃度はiが大きいほど低く,jが大きいほど高くなることを定量的に見出した。 さらに,C_<12>E_6ミセルにドデカンあるいはドデカノールを取込ませたとき,いずれの場合もミセルは屈曲性円筒状から偏重回転楕円体状へと形態を変えることぞ見出した。その際,ミセルサイズはドデカンの含有量と共に小さくなるのに対し,ドデカノール含有量が大きくなると大きくなることが判明した。
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