研究概要 |
1)T300平織材およびT700扁平糸織物材CFRPに落錘衝撃を与え,損傷モードを超音波Cスキャンおよび精密測定顕微鏡により観察し,損傷形態の三次元的形状を明らかにした.また,繰返し荷重による損傷進展を赤外線応力画像によりその場観察できることを示し,損傷モデルのFEM解析により損傷中期の応力画像を定性的に説明できることを明らかにした. 2)T700一方向材,T300平織材,T700扁平糸織物材CFRPのモードI, II層間破壊じん性試験を行い,モードIではブリッジング現象の有無により結果が大きくばらつくこと,また,モードIIでは織物材のじん性値が一方向材より大きいが,扁平糸織物材の方が平織材より小さいことから,モードII層間破壊じん性は繊維のうねりの影響を受けることを明らかにした. 3)T700扁平糸織物/ビニルエステル積層板の静的曲げ強度,曲げクリープ強度,曲げ疲労強度は,著しい時間および温度依存性を示し,両者の間には時間-温度依存性が成立する. 4)真空ポンプにより強化繊維基材内を負圧にし,樹脂含浸を行う簡易的なVARTM (Vacuum Assisted Resin Transfer Molding)成形装置の設計と試作を行い,T300平織材,T700扁平糸織物材,T700多軸スティッチ基材とビニルエステル樹脂による成形条件のパラメータを決定した. 5)T700扁平糸織物材の構造的な柔軟性とVARTM成形を組み合わせ,従来のオートクレーブ法やRTM法などに比べ格段に簡易な装置により,二重曲率などの複雑形状の成形品を得られることを示した.
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