研究課題
基盤研究(C)
本研究は、水ストレスがイネの生育に及ぼす影響を、気孔と土壌水分環境の非破壊計測から評価し、干ばつ抵抗性の品種間差異ならびに施肥間差異を定量的に明らかにしようとするものである。圃場にイネを栽培し、品種と施肥の異なる区を設け、ビニルハウス内で灌水を停止して水ストレス処理を与えた。供試材料として、アジアイネに加え、近年西アフリカで育成されたNERICAの系統を用い、乾物生産と気孔反応、水分吸収特性、根の形質との関係について比較を行った。ポロメータによる気孔コンダクタンス、TDR土壌水分計測による深さ別土壌水分、地上部の部位別乾物重と根の形質の測定を行った。干ばつ条件下において、NERICAの系統間でも乾物重と収量には大きな差異がみられたが、干ばつ抵抗性のアジアイネ品種よりも高い生長を示すものもみられた。乾燥条件下において生長の高い品種・系統は気孔コンダクタンスが高かった。アジアイネの品種間で土壌含水率と乾物重との間には負の相関が認められ、高い生長を示したイネ品種では水分吸収が高かった。一方、NERICAでは両者に相関関係はみられなかったことは、NERICAの系統間では水利用効率の変異が大きいことを示していると考えられ、少ない水分吸収でも高い水利用効率によって高い生育を示す系統もあると考えられた。根の形質についても、アジアイネでは天水栽培下の乾物生産と根の形質との間には相関がみられたが、NERICAでは有意な相関はみられなかった。以上より、アジアイネの干ばつ抵抗性品種は、多くの土壌水分を吸収することにより高い生育を示したのに対し、NERICAでは水利用効率の変異が大きく、NERICAの中には少ない水分吸収でも高い生育を示す系統があることが考えられ、乾燥地における長期的な栽培に適しているものと考えられる。また、堆肥・少肥条件では水ストレスが軽減され、乾燥条件下でも乾物生産を高く維持できるものと考えられた。
すべて 2004 2003 その他
すべて 雑誌論文 (10件) 文献書誌 (1件)
New directions for a diverse planet : Proceedings of the 4th International Crop Science Congress, 26 Sep-1 Oct 2004, Brisbane, Australia. (www.cropscience.org.au)
日本作物学会紀事 73・別号2
ページ: 26-27
New directions for a diverse planet : Proceedings of the 4th Internationai Crop Science Congress, 26 Sep・1 Oct 2004, Brisbane, Australia, www.cropscience.org.au
ページ: 6-6
Japan Journal of Crop Science 72 extra2
New directions for a diverse planet : Proceedings for the 4th International Crop Science Congress, Brisbane, Australia WWW.cropscience.org.au
日本作物学会紀事 72・別号2
ページ: 254-255
東海作物研究 132・133
ページ: 7-9
110001725836
Tokai Journal of Crop Science 132・133