研究概要 |
本年度は、2002年12月に日本大学生物資源科学部・生物環境科学センター(以下CNES)の全天平坦地に実験区を設置した。実験区は、キャンパス内で植栽樹種を同定している3箇所(A区、B区、C区)から落葉を収集し、それぞれ5cm,10cm,20cm厚に敷均した区(以下、落葉由来区)と、コナラ、クヌギ、ウバメガシ、シラカシの4種の種子を1区につき50粒置床し、その上に落葉を5cm,10cm,20cm,30cm厚に敷均した区(以下、種子置床区)、合計87区(各区は1m×1m)に90%光透過率の白色防虫網を被せて設置した。両実験区において、2003年3月下旬から10月下旬まで木本類の出芽、枯死のカウント及びサンプリングした同一実生個体の成長量測定(年3回)、落葉厚変化の測定、11月に選定した落葉由来区3区の堀上げとカシ類種子の落葉内位置の測定、同区での生残個体の乾重量測定を行った。また、環境調査として、落葉・落枝層内温度、水分、落葉層表面の相対照度、同じく相対積算日射量の測定を行った。以上の本年度設置の実験区での諸測定のほか、2001年12月設置のコナラ林の試験区での実生の追跡調査、1999年秋季キャンパス内に設置された落葉由来試験区の実生の追跡調査及び神奈川県立座間谷戸山公園内里山林3箇所のコナラ実生の生残率、現存量調査を併せて行い、CNES実験区の実生の成長と比較、検討した。 以上の結果の概要を以下に記す。CNES落葉由来区(合計27区)からは11種948個体が出芽し、2003年10月下旬での生残率は64.1%であった。この落葉由来区での落葉層の厚さ別の出芽・生残・成長量の結果をみると先駆種では10cm厚が、カシ類では20cm厚が成績良好であった。そのうちコナラでは種子の位置が20cm厚の下層0-1.0cmにある場合に出芽率が高かった。CNESコナラ種子置床区の出芽・生残・成長量では20cm厚が良好であった。里山林とCNES実験区での比較では日射量の多い後者の方が成績良好であった。
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