研究概要 |
1.ダイコンを含む多くの植物で可溶性および細胞壁結合性γ-グルタミル基転移酵素(GGT, EC.2.3.2.2)が存在することを明らかにした。 2.ダイコンの可溶性GGTのcDNAを3種類、rsggt1(AB098475),rsggt2(AB102676),rsggt3(未登録)をクローニングし、その塩基配列、特徴などを明らかにした。これらの配列からヘテロダイマー型GGTをコードすることが推測され、哺乳動物などのそれと高い相同性を示した。 3.rsggtの発現部位について検討したところ、rsggt1は未熟種子や子葉、rsggt2は子葉、葉、根で、rsggt3は葉、根、未熟種子で強く発現し、部位特異的な発現パターンを示した。 4.rsggt1,2で形質転換したタバコを作出した。生育には変化が認められないが、高いGGT活性を示した。しかし、形質転換タバコで増加したGGT活性は、ダイコンの可溶性GGTをコードするcDNAで形質転換したにも関わらず、結合性画分に存在した。今後の検討が必要である。 5.結合性GGTをダイコン子葉より精製し、モノペプチド型の酵素であることを明らかにした。本酵素をコードするcDNAは、β-1,3-グルカナーゼと推定されているシロイヌナズナcDNA(AK118068)と同一のものであることを形質転換タバコを用いて明らかにした。この型のGGTは植物特有の新しい型のGGTである。 6.rsggt1で形質転換したタバコを用のアポプラストのチオール化合物を定量したところ、グルタチオン量が減少し、GGT反応の生成物であるシステイニルグリシンが増加した。これは細胞壁に存在するGGTがアポプラストのグルタチオンを分解しているものと思われる。
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