研究概要 |
純品のTTX(1)を用いて1と比較的反応し易いチオール及び反応条件を探した結果、pH8.0の緩衝液中、23000等量のME存在下で、12時間後には、HPLCで新たなpeakを与え、その生成物4-METTX(3)のHPLC換算の収率は約40%であった。生成した3は、活性炭で処理し、HR-ESI MSで確認した([M+H]^+m/z380.1091calcd.for[C_<13>H_<22>N_3O_8S],380.1128)。同様の条件でMEなしに、1を放置しても殆どanhydroTTX(4)を生じなかったので、MEは直接1と反応したと考えられた。一方、GSHも1の約5000等量をpH8.0で反応した場合、8時間後に約5%GS-TTXを生じた。Cysの場合は、GSHに比べて溶解性が低く1との反応する濃度まで高めることができなかった。このことから、1はanhydrpTTXに比べて非常に反応性が悪いがチオールと反応することが示された。4位の立体配置の異なる1,anhydroTTXともに反応することから、反応中間体は、N3,C4間にイミンを形成しているのではないかと考えられた。以上から、4のみでなく、1のhemiaminal構造にもチオールが反応することが初めて明らかになった。 マウスにおける解毒試験ではチオール類の経口投与ではフグ毒の毒性を軽減することはできなかったが、チオールとテトロドトキシンとの生体内類似条件での反応が証明できたので、哺乳類におけるフグ毒の代謝経路においてチオール化される経路の存在が示唆された。
|