研究課題/領域番号 |
14560154
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
水産学一般
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
小田 達也 長崎大学, 水産学部, 教授 (60145307)
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研究分担者 |
畠山 智充 長崎大学, 工学部, 助教授 (50228467)
石松 惇 長崎大学, 水産学部, 教授 (00184565)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2003年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2002年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
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キーワード | 赤潮 / 海洋性植物プランクトン / 活性酸素 / 毒性 / シャットネラ / ラフィド藻類 / グリコキャリックス / NADPH oxidase / グリコキャッリックス |
研究概要 |
シャットネラ細胞浮遊液においては、常に活性酸素が検出されるが、その産生量はレクチンの一種であるコンカナバリンA(Con A)、あるいは糖特異性が異なる他のレクチン(リシン、CBH、WGA等)添加によって、著しく上昇すること、さらに興味あることに、魚鰓粘液由来高分子物質にも同様な刺激作用があることを見出している。従って、シャットネラの活性酸素産生を司る酵素系は刺激応答機構を有していると考えられる。ヒト白血球細胞膜に存在する活性酸素産生酵素NADPH oxidaseとの類似性との観点から、シャットネラの活性酸素産生に関与する酵素とヒト好中球の細胞膜に存在する活性酸素産生酵素系であるNADPH oxidaseとを免疫学的方法により比較検討した。シャットネラの活性酸素産生は、好中球と同様、レクチンなどの添加によって上昇する点、シャットネラ細胞から調製した無細胞系にNADPHを添加するとスーパーオキサイドが酵素的に産生される事、さらに、ヒト好中球のNADPH oxidaseの主要成分蛋白質であるチトクロームb大サブユニット(gp91phox)に対する抗体を用いたウエスタンブロットにより、110 kd付近に主要バンドが検出されたことから、シャットネラにはヒト好中球のNADPH oxidaseに類似した酵素が存在することが強く示唆された。また、シャットネラ細胞表層構造で、グリコキャリックスと呼ばれる糖被膜に活性酸素産生酵素系が存在する可能性を示す結果が得られた。この糖被膜は通常の顕微鏡観察ではその存在の確認は容易ではないが、トルイジンブルー染色で確認することができた。興味あることに、このグリコキャリックスは魚鰓粘液物質やレクチン添加等の化学的刺激の他、撹拌等の物理的刺激に対しても応答してシャットネラ細胞本体から容易に脱落する現象が観察された。この現象はシャットネラの魚毒性発現機構を考える上で大変重要な知見であると考えられる。一方、シャットネラ細胞のメタノール抽出物内に光依存性溶血活生物質が存在することが突き止められた。活性酸素に加え、このような溶血毒素が魚類に対する毒性因子として作用し、シャットネラの複合的な毒性発現機構の可能性も考えられる。この点についてはさらに検討する必要がある。
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