研究概要 |
農業用パイプラインシステムの規模と水管理の最適化を目指して自動減圧弁と自動定流量弁を組み合わせたセミクローズドパイプラインの導入が要請されている.このパイプラインは,自動減圧弁により過剰な圧力を削減して塩化ビニル管の使用を可能とし,さらに下流に配置した自動定流量弁により末端側での過剰な分水操作の影響を排除できることに特徴がある. このような自動減圧弁と定流量弁を組み合わせたセミクローズドパイプラインを導入した地区において,自動減圧弁が過剰に開閉し,これが収束しないで大きな圧力変動が長時間継続する可能性がある.これは,自動減圧弁と定流量弁の間に自励振動が発生し,過剰な圧力が発生したものと予想される. そこで,自動減圧弁と直動式定流量弁との連成振動の発生について現地試験を行い,定流量弁の機能発現および自励振動の発生とその抑制対策ついて検討を行った.その結果,直動式定流量弁を設定流量付近で使用する場合は,管路圧力により弁体を駆動する作動機構が機能して,自励振動を誘発する可能性があり,直動式定流量弁の設定流量より絞った状況で使用する場合は,大きな自励振動を発生しないことが明らかとなった.また,自励振動の抑制対策としては,自動減圧弁の応答感度を鈍くすることのみでは,完全に抑制できないこと,自動減圧弁の上下流側に設置した安全弁の規模が小さい場合は,安全弁が作動しても,圧力振動が減衰しないことが明らかとなった.
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