研究概要 |
本研究は,アンモニア態窒素と硝酸態窒素をそれぞれ施用したアルファルファの生育差を根系の発達と機能の違いから明らかにする目的で行った。その結果,以下のことが明らかとなった。 1.培地の窒素濃度20ppmにおいて硝酸態窒素施用に比べ,アンモニア態窒素施用が生育や根系の長さが優れたのは分枝根数と個々の分枝根長の違いに由来していることが明らかとなった。 2.培地の窒素濃度を変化させると.窒素濃度20ppmまでは,アンモニア態窒素施用の方が硝酸態窒素施用に比べ,生育と根系の発達が優れた。しかし,30ppmでは,逆に硝酸態窒素施用の方が生育と根系の発達が優れた。また,40ppmでは,両窒素をそれぞれ施用した個体に生育や根系の発達に差は見られなかった。 3.培地の窒素濃度20ppmにおいて硝酸態窒素を施用したアルファルファの生育と根系発達がアンモニア態窒素を施用したものに比べ劣ったのは,アルファルファの硝酸還元能力を上回る窒素量を施用されたためではなく,ごく初期の段階で硝酸イオンを十分に吸収できなかったことが原因の一つであることが示唆された。 4.培地の窒素濃度20ppmでのアンモニア態窒素施用と硝酸態窒素施用の生育と根長差は,ごく初期の生育段階(播種後40日目まで)での根の窒素吸収量の差が一因であることが示された。しかし,30ppmにおいてアンモニア態窒素施用が硝酸態窒素施用に比べ,根系の発達が劣ったのは,根の窒素吸収量の差ではなく,吸収後のアンモニア態窒素の利用過程に何らかの原因があることが示唆された。 5.培地の窒素濃度30ppmでアンモニア態窒素を施用したアルファルファの根系の発達が硝酸態窒素施用したものに比べ,劣ったのは培地pHの影響ではないことが示唆された。
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