研究課題
基盤研究(C)
経済形質の大きく異なるウシ科家畜のmtDNA全塩基配列決定を網羅的に行い相互に比較した。1.耐暑性、抗病性にすぐれたゼブー系牛と、それらの形質を保有しないタウリン系牛を比較した。全塩基数は両者とも16338bpであった。ND2、COI、COII、ND4、LND6でアミノ酸が完全に一致した一方、ATPase8、ATPase6、ND5、ND3領域では3.1%〜0.9%のアミノ酸置換率を示した。NDI、CO3、ND4、Cytb領域はこれより低いアミノ酸置換率(0.3〜0.5%)を示した。2.役用と乳用に特化した沼沢水牛と河川水牛の比較解析を行った。全塩基数は沼沢水牛が16,355bp、河川水牛が16,357bpであった。この塩基数の差はD-loopに起因し、アミノ酸相同性は領域により90.9〜100%で、ND4LおよびND5領域で相同性が低く、ATPase8、COI、COII、ND3およびND6領域で高かった。3.ヤクのもつ高冷地適応能をさぐる目的でmtDNA全塩基配列を決定した。ヤク特有のアミノ酸置換は14箇所で、このうち8箇所が親水性から疎水性アミノ酸への置換であった。tRNA領域には、ヤク特有の塩基置換が10箇所存在し、このうち3箇所がtRNAフェニルアラニンに集中していた。4.家畜化による変異を明確にすることを目的とし家畜ヤギとその野生原種とされるベゾアーの配列を決定、比較した。家畜ヤギはD-loop領域の塩基配列により4タイプに分類されるが、これら相互間ではNDI、ND2、COI、D4およびND6がアミノ酸置換の無い安定領域であった。一方ATPase8、ATPase6、COII、COIII、ND3、ND4L領域には0.4〜3.1%のアミノ酸置換が認められた。さらにベゾアーの塩基配列は4タイプのうち最も一般的なものと極めて高い相同性を示した。
すべて 2004 2003
すべて 雑誌論文 (10件)
Report of the Society for Researches on Native Livestock 21
ページ: 77-89
Report of the Society for Researches on Native Livestock 21 : 107-121 2004 21
ページ: 107-121
Molecular Phylogenetics and Evolution 32
ページ: 539-544
Small Ruminant Research 47 : 171-181 2003 47
ページ: 171-181
Animal Genetics 34
ページ: 96-101
Small Ruminant Research 47