研究課題/領域番号 |
14560244
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
基礎獣医学・基礎畜産学
|
研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
菅原 邦生 宇都宮大学, 農学部, 教授 (50091947)
|
研究分担者 |
田中 秀幸 宇都宮大学, 農学部, 教授 (70091949)
杉田 昭栄 宇都宮大学, 農学部, 教授 (50154472)
|
研究期間 (年度) |
2002 – 2004
|
研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
|
配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2004年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2003年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2002年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
|
キーワード | リジン欠乏 / 飼料摂取量 / 鶏 / 血漿アミノ酸濃度 / 延髄孤束核 / 側坐核 / Fos免疫陽性細胞 / NPY / 梨状葉皮質 / 原線条体 / γアミノ酪酸 / リジン / 嗅覚 |
研究概要 |
本研究では、鶏ヒナにリジン欠乏飼料(リジンを含まない)を給与した時の初期摂食応答における食情報の検索とその伝達経路の解明を試みた. まず、23日齢ヒナに対照(精製)飼料を給与後、リジン欠乏飼料を給与し、4時間後まで採血し血漿アミノ酸濃度を測定した.血漿の遊離リジン濃度は1時間後に、リジン欠乏区は対照区の約1/3に減少し、その後さらに減少した.リジン以外の遊離アミノ酸濃度に変化はなかった.また、飼料摂取量は給与開始後5または6時間目において、リジン欠乏区で1/2に減少した.すなわち、血漿遊離リジン濃度の減少が飼料摂取量の減少に先行していることが明らかになり、血漿アミノ酸濃度の変化が食情報として作用することが示唆された. しかし、梨状葉皮質、視床下部、皮質の遊離アミノ酸濃度を測定したところ、リジン欠乏区でリジン濃度は1/2に減少したが、必須アミノ酸欠乏飼料による摂食量に関連があると考えられている梨状葉皮質あるいは飼料摂取量に一義的に関連する視床下部に特徴的な変化はなかった.したがって、脳内の遊離アミノ酸濃度の変化は食情報として作用していないと考えられた. 一方、末梢の食情報の脳内への伝達経路を解明するために、リジン欠乏飼料給与3時間後に、鶏ヒナの延髄におけるFos免疫陽性細胞発現を観察した.その結果、リジン欠乏飼料を給与したヒナの孤束核に陽性細胞が観察され、その数は対照区のものより多かった.これは末梢の血漿アミノ酸濃度が迷走神経枝を介して脳に伝達されることを示唆するものである.また、リジン欠乏飼料給与5時間後に脳内のFos免疫陽性細胞を観察したところ、側坐核に細胞が観察され、その数は対照区のものより多かった.この結果はリジン欠乏飼料を給与したヒナにおける飼料摂取量の減少に側坐核が関与することを示唆するものである. これらの知見をまとめると、鶏ヒナにおけるリジン欠乏飼料に対する初期の摂食量の減少は血漿遊離リジン濃度の減少が食情報となり、延髄孤束核を経て、側坐核に伝わり、そこにおいてあるいは他の神経核において何らかの神経活動の変化を引き起こして生じるものと推察される.
|