研究概要 |
1.CFTR Clチャネルに依存しない細胞容積調節機構について解析を行った。単離したモルモット心室筋細胞を標本とし、顕微ビデオ画像解析によって得られた細胞像の面積を細胞容積の指標とした。等張高KCl液中でadrenalineを作用させると細胞容積が増大するが、その後外液を高KCl液から正常タイロード液変えると細胞が縮小した。この細胞縮小にI_<Cl, swell>チャネルが関与していることが示唆された。細胞を低張タイロード液に浸すと細胞は膨化するが、その後細胞が有意に縮小する(RVD)した。いっぽう、低張の高KCl液中ではRVDは発生せず、著しい細胞膨化が起こった。これらRVDおよび高KCl低張液中での細胞膨化増強にI_<Cl, swell>チャネルが関与していることが示唆された。 2.心筋細胞のCFTR Cl電流(I_<Cl, PKA>)に及ぼす細胞外ATPの効果を検討した。単離したモルモット心室筋細胞を標本とし、whole-cell clamp法により膜電流を記録した。ATPは単独ではI_<Cl, PKA>を活性化しなかったが,isoprenaline(Iso)によってI_<Cl, PKA>を活性化した後ATP(50μM)を作用させると、ほぼ全実験例でI_<Cl, PKA>が増加した。そのうちの約2/3の例では増加の前に一過性にI_<Cl, PKA>が減少した。薬理学的実験から、ATPによる初期のI_<Cl, PKA>抑制はP1-purinoceptor刺激により、増強効果は,P2-purinoceptor刺激によると考えられた。Isoを連続投与中にATPの添加と除去を行うと,除去後、もI_<Cl, PKA>の増強は数分持続することが観察された。モルモット心室筋細胞において、ATPによるP2-purinoceptor刺激はβ-adrenergic receptor刺激によるI_<Cl, PKA>活性化を促進し、この促進作用はATP除去後も数分持続することが示された。
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